日本の庭・ことはじめ/岡田憲久
読み終わるまでに結構時間が掛かった本。
筆者は5年間京都にて、作庭修行を積んだ作庭家。
「ことはじめ」とあるが、内容は奥が深くなかなか難しい。
出版はTOTO出版で、帯に「都市の中で自然と共に生きる日本人の知恵と文化を説く。
ありそうでなかった庭の文化を知る一冊」とある。
第6章「時間・骨格・ディテール」の「時間概念のデザイン化」の項に、以下の文章がある。
西欧の庭園は、大別すれば「整形式」と呼ばれ、自然を人間の意図する形態に
制御することによって、その美しさを享受するデザインがなされてきた。
それに対して、日本の庭園は「自然風形式」と呼ばれ、
自然の素材を自然の形態のままに組み合わせ、空間を表現する。
庭園の主役はあくまでも生きている自然である。
この生きている自然を庭園で享受するためには、「生きている自然とは、すなわち時間と共に
変化するもの」という認識の下で、意匠として扱う工夫が必要とされてきた。
これは「時間概念のデザイン化」ともいえ、日本の庭園の特徴といえる。
この「時間概念のデザイン化」ではまず短いもので、一日単位の変化のデザイン化がある。
(中略)
もっとも身近に理解できるのは、一年を一回りとした四季の変化のデザインであろう。
(中略)
最後により長いスパンでは、成長し朽ち果ててゆくという自然本来の生態的な経年変化を美と捉え、
デザインの大きな要素としたことがあり、「侘び(わび)」、「寂び(さび)」などと表現されている。
刈り込みや剪定によって形態を常に一定に整えておく部分とは区別して、成長にまかせ、朽ち果て、
苔むしていく姿を美の一形態とするものである。
以上、日本の庭園の独自の特徴ですが、これは日本人の感性にも繋がっていますね。
欧米化を目指して走ってきた日本人が、日本の文化を残すためにも
今後もっとも意識しなければいけないことだと感じます。
日本の庭・ことはじめ/岡田憲久