京都の意匠/伝統のインテリア・デザイン
最近、夜寝る前に読んでいる本です。
帯に「京にのこる懐かしい情景」
「玄関・障子・窓・引手・釘隠し・欄間・・・住宅の細部意匠(デザイン)への心くばり。
夏座敷・台所・坪庭・祇園会・・・神を畏れ敬い、自然と共生する暮らし方。」とあります。
京都に生まれ育った著者/吉岡幸雄氏の50年余りにわたる「眼」の記憶を、
写真家/喜多章氏がストロボとかライトとかを一切使わず、
すべてを自然光と室内の灯りだけで撮影しています。
文章と写真が半々程度で、とても読みやすい本です。
写真もとても美しく、眺めているだけでも楽しめます。
京の街、眼の記憶(まえがきにかえて)のなかに、
「京都に育った人の喜びは、三方を山で囲まれた小さな都市空間のなかにいて、
日々それぞれの山の色の移ろいを、陽の光、風の音とともに自らの眼と肌で
確かめながら暮らしていることであろう。」
「その土地に生まれ育ったものは、まわりの風景があまりにも日常的すぎて、
よその戸地との違いや景観の美しさ、慣わしの雅さになかなか気づくものではない。」
「木と土と紙と糸という、自然のなかで成育し、人間の手で組み立てられた素材は、
コンクリートや金属製のサッシで組み立てられたものとは、違う。
長いあいだの風雪に耐えて木目を露出させながらも、白壁は雨に汚れてはいても、
人が眼にしてなお美しいものであることを理解してほしい。」
と、あります。
日々の生活の中で目線を変えると、侘び寂びの世界が広がっています。
京都に生まれ育ったことだけでも、羨ましい限りである。
京都の意匠/伝統のインテリア・デザイン